空き家情報コラム
COLUMN近年増加し続けている空き家は、治安や景観の悪化や災害の時のリスクなどが大きな問題となっているため、テレビなどで報道されることも多いですよね。実際に空き家の処分をどうするかで悩んでいる方も多いと思いますが、そんな方々に朗報が!相続または遺贈によって取得した家屋・敷地を一定期間の間に売却した際の譲渡所得が、最高3,000万円まで控除することができるようになったのです。今回は、相続や遺贈によって取得した空き家の譲渡所得の控除について解説いたします。
国土交通省が実施した調査では、周辺の環境に悪影響を及ぼす可能性のある空き家の約75%が旧耐震基準のもとで建築されたもので、耐震化の進捗状況の推計値として公表された数値を考慮すると、そのような空き家のうち約60%が耐震性のない(耐震リフォームがされていない)建築物であると推計されています。耐震性のない古い空き家をそのまま放置してしまうと、災害が起こった際に周囲へ大きな被害が発生する可能性が非常に高くなるため、平成28年度の税制改正によって「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」が創設されたのです。
「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」とは、相続や遺贈によって空き家になった不動産を相続人が売却した場合、一定の適用条件を満たした場合に売却した際の譲渡所得から3,000万円を控除することができ、税金対策をすることができる制度です。
「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」を適用した場合の譲渡所得の計算式は、以下の通りです。
譲渡所得=譲渡価額―(取得費用+譲渡費用)-特別控除3,000万円
このように、3,000万円控除することができると、税額に換算して600万円程度軽減することができるのです。
「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」の制度の適用を受けるには、以下の条件を満たしている必要があります。
■適用することができる期間
「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」の制度は、いつでも適用できるわけではなく、特例の適用期間である平成28年4月1日~平成31年12月31日までに譲渡することと、相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までとなっています。
■家屋の要件
相続した家屋に関しては、以下のすべての要件を満たす必要があります。
1.相続開始の直前において、被相続人が一人で居住していたもの
2.昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること。(区分所有建築物を除く)
3.相続時から売却時までの期間、事業や貸付け、居住の用途に使用されていないもの
4.相続によって土地および建物を取得したもの
■譲渡する際の要件
1.譲渡価額が1億円以下(共有で譲渡する場合には合計額が1億円以下)
2.家屋を譲渡する場合、譲渡時において家屋が現行の耐震基準に適合するもの。(相続人が耐震リフォームを行う必要がある)
不動産を売却した際に適用することができる税制に関する特例は、「自己居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」や「自己居住用財産の買換え等に係る特別措置」、「相続財産譲渡時の取得費加算特例」があります。「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」と併用できるものと、以下のように併用できないのでどちらかを選択する必要があるものがあります。
「自己居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」「自己居住用財産の買換え等に係る特別措置」とは併用可能です。ただし、「自己居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」と同一年内に併用する場合、2つの特例を合わせて3,000万円が控除限度額となります。一方で、「相続財産譲渡時の取得費加算特例」とは併用することができないため、どちらかを選択する必要があります。
また、他にも「住宅ローン控除」とも併用が可能です。
この制度の適用を受けるためには、まず空き家が所在している市区町村で空き家の確認書をもらい、その確認書を確定申告に添付して税務署に提出します。
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